SOKAnetトップ

『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(434)

一大悪対治御書

 人肉を食らわざれば、投身無用なり。今その中の勘文を取るに、法華経の実相は一同にこれを存ずといえども、その行儀、時に随って不定なるべし。故に、流通の諸品、品々なり。仏菩薩の意楽、時に随う故か。
 たとい悪にあらずといえども、小善をもって大善を防ぐは五逆罪に過ぐるなり。今の智者、万善を勧めしむるよりは、一大悪を治するにしかず。例せば、外道の九十五種のごとし。その所詮を取るに常楽我浄の四字なり。名は仏法の根本を得たるも、その義は即ち邪なり。仏世に出でて、まずこの悪を治す。正法を説かんがために、苦・無常等の四法を構えて彼の邪見を治す。
 今の世間は弥陀の名号の権法をもって円機を抑え、円経に進まざらしむ。名号の権悪を治せんがために、妙法蓮華経の実術を用いる。在世・滅後異なりといえども、正法を弘むるの心はこれ一なり。時に当たって秘術を得るか。