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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

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大白牛車書

 夫れ、法華経第二の巻に云わく「この宝乗に乗じて、直ちに道場に至る」云々。日蓮は建長五年四月二十八日、初めてこの大白牛車の一乗法華の相伝を申し顕せり。しかるに、諸宗の人師等、雲霞のごとくよせ来り候。中にも真言・浄土・禅宗等、蜂のごとく起こり、せめたたかう。日蓮、「大白牛車の牛の角、最第一なり」と申してたたかう。両の角は本迹二門のごとく、二乗作仏・久遠実成これなり。すでに弘法大師は法華最第一の角を最第三となおし、一念三千・久遠実成・即身成仏は法華に限れり、これをも真言の経にありとなおせり。かかる謗法の族を責めんとするに、返っていよいよ怨をなし候。譬えば、角をなおさんとて牛をころしたるがごとくなりぬべく候いしかども、いかで、さは候べき。
 そもそも、この車と申すは、本迹二門の輪を妙法蓮華経の牛にかけ、三界の火宅を生死生死とぐるりぐるりとまわり候ところの車なり。ただ信心のくさびに志のあぶらをささせ給いて、霊山浄土へまいり給うべし。また心王は牛のごとし。生死は両の輪のごとし。伝教大師云わく「生死の二法は一心の妙用、有無の二道は本覚の真徳」云々。天台云わく「十如はただこれ乃至今境はこれ体なり」云々。この文釈、能く能く案じ給うべし。南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。
  十二月十七日    日蓮 花押