2134ページ
時』と」云々。これらの論師・人師、末法闘諍堅固の時、地涌出現し給いて本門の肝心たる南無妙法蓮華経の弘まらせ給うべき時を知って、恋いさせ給いて、かくのごとき釈を設けさせ給いぬ。
なおなお即身成仏とは、迹門は能入の門、本門は即身成仏の所詮の実義なり。迹門にして得道せる人々、種類種・相対種の成仏、いずれもその実義は本門寿量品に限れば、常にかく観念し給え。正観なるべし。
しかるに、さばかりの上代の人々だにも即身成仏には取り煩わせ給いしに、女人の身として度々かくのごとく法門を尋ねさせ給うことは、ひとえに只事にあらず。教主釈尊、御身に入り替わらせ給うにや。竜女が跡を継ぎ給うか。また憍曇弥女の二度来れるか。知らず、御身はたちまちに五障の雲晴れて、寂光の覚月を詠め給うべし。委細はまたまた申すべく候。
弘安三年十月五日 日蓮 花押
妙一女御返事
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
---|---|---|---|
(412)妙一女御返事(事理成仏抄) | 弘安3年(’80)10月5日 | 59歳 | 妙一女 |