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の題目をや。
白粉の力は、漆を変じて雪のごとく白くなす。須弥山に近づく衆色は、皆金色なり。法華経の名号を持つ人は、一生乃至過去遠々劫の黒業の漆変じて白業の大善となる。いおうや、無始の善根、皆変じて金色となり候なり。
しかれば、故聖霊、最後臨終に南無妙法蓮華経ととなえさせ給いしかば、一生乃至無始の悪業変じて仏の種となり給う。煩悩即菩提・生死即涅槃・即身成仏と申す法門なり。かかる人の縁の夫妻にならせ給えば、また女人成仏も疑いなかるべし。もしこのこと虚事ならば、釈迦・多宝・十方分身の諸仏は、妄語の人、大妄語の人、悪人なり。一切衆生をたぼらかして地獄におとす人なるべし。提婆達多は寂光浄土の主となり、教主釈尊は阿鼻大城のほのおにむせび給うべし。日月は地に落ち、大地はくつがえり、河は逆しまに流れ、須弥山はくだけおつべし。日蓮が妄語にはあらず、十方三世の諸仏の妄語なり。いかでか、その義候べきとこそおぼえ候え。委しくは見参の時申すべく候。
七月十四日 日蓮 花押
妙法尼御前申させ給え。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(408)妙法尼御前御返事(臨終一大事の事) | 弘安元年(’78)7月14日 | 57歳 | 妙法尼 |