2037ページ
のゆわれもや」とおぼえ候。
蓮はきよきもの、泥よりいでたり。せんだんはこうばしき物、大地よりおいたり。さくらはおもしろき物、木の中よりさきいず。ようきひは見めよきもの、下女のはらよりむまれたり。月は山よりいでて山をてらす。
わざわいは口より出でて身をやぶる。さいわいは心よりいでて我をかざる。
今、正月の始めに法華経をくようしまいらせんとおぼしめす御心は、木より花のさき、池より蓮のつぼみ、雪山のせんだんのひらけ、月の始めて出ずるなるべし。
今、日本国の、法華経をかたきとして、わざわいを千里の外よりまねき出だせり。これをもっておもうに、今また法華経を信ずる人は、さいわいを万里の外よりあつむべし。
影は体より生ずるもの。法華経をかたきとする人の国は、体にかげのそうがごとくわざわい来るべし。法華経を信ずる人は、せんだんにこうばしさのそなえたるがごとし。またまた申し候べし。
正月五日 日蓮 花押
おもんすどのの女房御返事
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
---|---|---|---|
(390)十字御書 | 弘安4年(’81)1月5日 | 60歳 | 石河能助の妻 |