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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(376)

松野殿御返事(臨終妙覚の事)

 建治3年(ʼ77)9月9日 56歳 松野六郎左衛門

 鵝目一貫文・油一升・衣一つ・筆十管、給び候。
 今に始めぬ御志、申し尽くしがたく候えば、法華経・釈迦仏に任せ奉り候。
 先立ってより申し候、ただ在家の御身は、余念もなく日夜朝夕南無妙法蓮華経と唱え候いて、最後臨終の時を見させ給え。妙覚の山に走り登り、四方を御覧ぜよ。法界は寂光土にして、瑠璃をもって地とし、金縄をもって八つの道をさかい、天より四種の花ふり、虚空に音楽聞こえ、諸の仏菩薩は皆常楽我浄の風にそよめき給えば、我らも必ずその数に列ならん。法華経は、かかるいみじき御経にておわしまいらせ候。委細はいそぎ候あいだ申さず候。恐々謹言。
  建治三年丁丑九月九日    日蓮 花押
 松野殿御返事
  追って申し候。目連樹十両ばかり給び候べく候。