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松野殿御返事(臨終妙覚の事)
建治3年(ʼ77)9月9日 56歳 松野六郎左衛門
鵝目一貫文・油一升・衣一つ・筆十管、給び候。
今に始めぬ御志、申し尽くしがたく候えば、法華経・釈迦仏に任せ奉り候。
先立ってより申し候、ただ在家の御身は、余念もなく日夜朝夕南無妙法蓮華経と唱え候いて、最後臨終の時を見させ給え。妙覚の山に走り登り、四方を御覧ぜよ。法界は寂光土にして、瑠璃をもって地とし、金縄をもって八つの道をさかい、天より四種の花ふり、虚空に音楽聞こえ、諸の仏菩薩は皆常楽我浄の風にそよめき給えば、我らも必ずその数に列ならん。法華経は、かかるいみじき御経にておわしまいらせ候。委細はいそぎ候あいだ申さず候。恐々謹言。
建治三年丁丑九月九日 日蓮 花押
松野殿御返事
追って申し候。目連樹十両ばかり給び候べく候。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(376)松野殿御返事(臨終妙覚の事) | 建治3年(’77)9月9日 | 56歳 | 松野六郎左衛門 |