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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(373)

松野殿御消息(一劫の事)

 建治2年(ʼ76)2月17日 55歳 松野六郎左衛門

 柑子一籠・種々の物、送り給び候。
 法華経第七の巻の薬王品に云わく「衆の星の中に月天子は最もこれ第一なり。この法華経もまたかくのごとく、千万億種の諸の経法の中において、最もこれ照明なり」云々。文の意は、虚空の星はあるいは半里、あるいは一里、あるいは八里、あるいは十六里なり。天の満月輪は八百里にておわします。華厳経六十巻あるいは八十巻・般若経六百巻・方等経六十巻・涅槃経四十巻三十六巻・大日経・金剛頂経・蘇悉地経・観経・阿弥陀経等の無量無辺の諸経は星のごとし、法華経は月のごとしと説かれて候経文なり。これは、竜樹菩薩・無著菩薩・天台大師・善無畏三蔵等の論師・人師の言にもあらず、教主釈尊の金言なり。譬えば、天子の一言のごとし。
 また法華経薬王品に云わく「能くこの経典を受持することあらん者もまたかくのごとく、一切衆生の中において、またこれ第一なり」等云々。文の意は、法華経を持つ人は、男ならば、いかなる田夫にても候え、三界の主たる大梵天王・釈提桓因・四大天王・転輪聖王乃至漢土・日本の国主等にも勝れたり。いかにいわんや、日本国の大臣・公卿・源平の侍・百姓等に勝れたること、申すに及ばず。女