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よろこび、かつはなげかし。一度におもい切ってうえしなんとあんじ切って候いつるに、わずかのともしびにあぶらを入れそえられたるがごとし。あわれ、あわれ、とうとくめでたき御心かな。釈迦仏・法華経、定めて御計らい給わんか。恐々謹言。
弘安二年十二月二十七日 日蓮 花押
上野殿御返事
(328)
上野殿御返事(正月三日の事)
弘安3年(ʼ80)1月11日 59歳 南条時光
十字六十枚・清酒一筒・薯蕷五十本・柑子二十・串柿一連、送り給び候い畢わんぬ。法華経の御宝前にかざり進らせ候。春の始めの三日、種々の物、法華経の御宝前に捧げ候い畢わんぬ。
花は開いて果となり、月は出でて必ずみち、灯は油をさせば光を増し、草木は雨ふればさかう。人は善根をなせば必ずさかう。その上、元三の御志、元一にも超え、十字の餅、満月のごとし。事々またまた申すべく候。
弘安三年庚辰正月十一日 日蓮 花押
上野殿
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(327)上野殿御返事(適時弘法の事) | 弘安2年(’79)12月27日 | 58歳 | 南条時光 |
(328)上野殿御返事(正月三日の事) | 弘安3年(’80)1月11日 | 59歳 | 南条時光 |