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上野殿御返事(竜門御書)
弘安2年(ʼ79)11月6日 58歳 南条時光
進上 上野殿 あつわらのものの事 日蓮
唐土に竜門と申すたきあり。たかきこと十丈、水の下ることがっぴょうがやをいおとすよりもはやし。このたきにおおくのふなあつまりてのぼらんと申す。ふなと申すいおののぼりぬれば、りゅうとなり候。百に一つ、千に一つ、万に一つ、十年二十年に一つものぼることなし。あるいははやきせにかえり、あるいはわし・たか・とび・ふくろうにくらわれ、あるいは十丁のたきの左右に漁人どもつらなりいて、あるいはあみをかけ、あるいはくみとり、あるいはいてとるものもあり。いおのりゅうとなること、かくのごとし。
日本国の武士の中に源平二家と申して、王の門守りの犬二疋候。二家ともに王を守りたてまつること、やまがつが八月十五夜のみねよりいずるをあいするがごとし。てんじょうのなんにょのあそぶをみては、月と星とのひかりをあわせたるを木の上にてさるのあいするがごとし。かかる身にてはあれども、「いかんがして、我らてんじょうのまじわりをなさん」とねがいしほどに、平氏の中に貞盛
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(326)上野殿御返事(竜門御書) | 弘安2年(’79)11月6日 | 58歳 | 南条時光 |