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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

かる国主の内にある人々なれば、たとい心ざしあるらん人々もとうことなし。このこと事ふりぬ。なかにも今年は、疫病と申し、飢渇と申し、といくる人々もすくなし。たといやまいなくとも、飢えて死ぬことうたがいなかるべきに、麦の御とぶらい、金にもすぎ、珠にもこえたり。彼のりたがひえは、変じて金人となる。この時光が麦、何ぞ変じて法華経の文字とならざらん。この法華経の文字は釈迦仏となり給い、時光が故親父の左右の御羽となりて、霊山浄土へとび給え、かけり給え、かえりて時光が身をおおい、はぐくみ給え。恐々謹言。
  弘安元年七月八日    日蓮 花押
 上野殿御返事

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上野殿御返事(塩一駄供養の事)

 弘安元年(ʼ78)9月19日 57歳 南条時光

 塩一駄・はじかみ、送り給び候。
 金多くして日本国の沙のごとくならば、誰かたからとしてはこのそこにおさむべき。餅多くして一閻浮提の大地のごとくならば、誰か米の恩をおもくせん。