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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

しかば、わざとかまくらよりうちくだかり、御はかをば見候いぬ。
 それよりのちは、するがのびんにはとおもいしに、このたびくだしには人にしのびてこれへきたりしかば、にしやまの入道殿にもしられ候わざりし上は、力およばずとおりて候いしが、心にかかりて候。
 その心をとげんがために、この御房は正月の内につかわして、御はかにて自我偈一巻よませんとおもいて、まいらせ候。「御とのの御かたみもなし」なんどなげきて候えば、とのをとどめおかれけること、よろこび入って候。
 故殿は、木のもと、くさむらのかげ、かよう人もなし、仏法をも聴聞せんず、いかにつれづれなるらん。おもいやり候えば、なんだもとどまらず。とのの法華経の行者うちぐして御はかにむかわせ給うには、いかにうれしかるらん、いかにうれしかるらん。