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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(298)

上野殿御返事(故上野殿追善の事)

 文永11年(ʼ74)7月26日 53歳 上野尼・南条時光

 鵝目十連・かわのり二帖・しょうこう二十束、給び候い了わんぬ。
 かまくらにてかりそめの御事とこそおもいまいらせ候いしに、おもいわすれさせ給わざりけること、申すばかりなし。
 こうえのどのだにもおわせしかばつねに申しうけたまわりなんと、なげきおもい候いつるに、おんかたみに御みをわかくしてとどめおかれけるか。すがたのたがわせ給わぬに、御心さえにられけること、いうばかりなし。法華経にて仏にならせ給いて候とうけたまわりて、御はかにまいりて候いしなり。
 また、この御心ざし申すばかりなし。今年のけかちにはじめたる山中に、木のもとにこのはうちしきたるようなるすみか、おもいやらせ給え。
 このほどよみ候御経の一分、ことのへ回向しまいらせ候。
 あわれ、人はよき子はもつべかりけるものかなと、なみだかきあえずこそ候え。妙荘厳王は二子にみちびかる。かの王は悪人なり。こうえのどのは善人なり。かれにはにるべくもなし。南無妙法蓮華