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「他経は、ただ善にのみ記して悪に記せず。今経は皆記す」等云々。妙楽云わく「ただ円教の意のみ、逆即是順なり。自余の三教は逆順定まるが故に」等云々。爾前分々の得道の有無のこと、これを記すべしといえども、名目を知る人にこれを申すなり。しかりといえども、大体これを教うる弟子これ有り。この輩等を召して、ほぼこれを聞くべし。その時これを記し申すべし。恐々謹言。
文永十年太歳癸酉八月三日 日蓮 花押
甲斐国南部六郎三郎殿御返事
鎌倉に筑後房・弁阿闍梨・大進阿闍梨と申す小僧等これ有り。これを召して御尊びあるべし、御談義あるべし。大事の法門等ほぼ彼らに申す。日本にいまだ流布せざる大法、少々これ有り。随って御学問注し申すべきなり。
(285)
六郎次郎殿御返事
建治3年(ʼ77)3月19日 56歳 波木井六郎次郎・次郎兵衛
白米三斗・油一筩、給び畢わんぬ。いまにはじめぬ御心ざし、申しつくしがたく候。日蓮が悦び候のみならず、釈迦仏定めて御悦び候らん。「我は則ち歓喜す。諸仏もまたしかなり」は、これなり。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(284)波木井三郎殿御返事 | 文永10年(’73)8月3日 | 52歳 | 南部六郎三郎 |
(285)六郎次郎殿御返事 | 建治3年(’77)3月19日 | 56歳 | 波木井六郎次郎・次郎兵衛 |