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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

 答えて云わく、このこと伝教大師、釈して云わく、
 「次に蓮の五重玄とは、蓮をば華因成果の義に名づく。蓮の名は十八円満なるが故に蓮と名づく。
 一に理性円満。謂わく、万法ことごとく真如法性の実理に帰す。実性の理に万法円満す。故に理性を指して蓮となす。
 二に修行円満。謂わく、有相・無相の二行を修して万法円満す。故に修行を蓮となす。
 三に化用円満。謂わく、心性の本理に諸法の因分有り。この因分に由って化他の用を具す。故に蓮と名づく。
 四に果海円満。諸法の自性を尋ぬるに、ことごとく本性を捨てて無作の三身を成ず。法として無作の三身にあらざることなし。故に蓮と名づく。
 五に相即円満。謂わく、煩悩の自性全く菩提にして、一体不二なるが故に蓮となす。
 六に諸教円満。諸仏の内証の本蓮に諸教を具足して、さらに闕減無きが故に。
 七に一念円満。謂わく、根塵相対して一念の心起こるに、三千世間を具するが故に。
 八に事理円満。一法の当体、而二不二にして、闕減無く具足するが故に。
 九に功徳円満。謂わく、妙法蓮華経に万行の功徳を具して、三力の勝能有るが故に。
 十に諸位円満。ただ一心を点ずるのみにして、六即円満なるが故に。
 十一に種子円満。一切衆生の心性に本より成仏の種子を具す。権教は種子円満無きが故に、皆成仏道の旨を説かず。故に蓮の義無し。