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雪山童子のまえにきたりし鬼神は、帝釈の変作なり。尸毘王の所へにげ入りし鳩は、毘首羯摩天ぞかし。班足王の城へ入りし普明王は、教主釈尊にてまします。肉眼はしらず、仏眼はこれをみる。虚空と大海とには魚鳥の飛行するあとあり。これらは経文にみえたり。木像即金色なり、金色即木像なり。あぬるだが金は、うさぎとなり、死人となる。釈摩男がたなごころには、いさごも金となる。これらは思議すべからず。凡夫即仏なり、仏即凡夫なり。一念三千・我実成仏これなり。
しからば、夫婦二人は、教主・大覚世尊の生まれかわり給いて日蓮をたすけ給うか。伊東とかわなのみちのほどはちかく候えども、心はとおし。後のためにふみをまいらせ候ぞ。人にかたらずして心得させ給え。すこしも人しるならば、御ためあしかりぬべし。むねのうちにおきて、かたり給うことなかれ。あなかしこ、あなかしこ。南無妙法蓮華経。
弘長元年六月二十七日 日蓮 花押
船守弥三郎殿許へこれを遣わす。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(259)船守弥三郎許御書 | 弘長元年(’61)6月27日 | 40歳 | 船守弥三郎 |