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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(258)

椎地四郎殿御書

 椎地四郎

 先日御物語の事について彼の人の方へ相尋ね候いしところ、仰せ候いしがごとく少しもちがわず候いき。これにつけても、いよいよはげまして法華経の功徳を得給うべし。師曠が耳・離婁が眼のように聞き見させ給え。
 末法には法華経の行者必ず出来すべし。ただし、大難来りなば、強盛の信心いよいよ悦びをなすべし。火に薪をくわえんに、さかんなることなかるべしや。大海へ衆流入る。されども、大海は河の水を返すことありや。法華大海の行者に諸河の水は大難のごとく入れども、かえすこと、とがむることなし。諸河の水入ることなくば、大海あるべからず。大難なくば、法華経の行者にはあらじ。天台云わく「衆流、海に入り、薪、火を熾んにす」等云々。
 法華経の法門を一文一句なりとも人にかたらんは、過去の宿縁ふかしとおぼしめすべし。経に云わく「また正法を聞かず、かくのごとき人は度し難し」云々。この文の意は、正法とは法華経なり、この経をきかざる人は度しがたしという文なり。
 法師品には「もしこの善男子・善女人乃至則ち如来の使いなり」と説かせ給いて、僧も俗も、尼も