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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(248)

弥源太入道殿御消息

 弘安元年(ʼ78)8月11日 57歳 北条弥源太

 一日の御帰路、おぼつかなく候いつるところに、御使い悦び入って候。御用事の御事どもは、伯耆殿の御文に書かせて候。しかるに、道隆の死して身の舎利となる由のこと、これは何とも人知らず、用いまじく候えば、とかく申して詮は候わず。
 ただし、仏の以前に九十五種の外道ありき。各々、これを信じて仏に成ると申す。また皆人も一同に思って候いしほどに、仏、世に出でさせ給いて「九十五種は皆地獄に堕ちたり」と説かせ給いしかば、五天竺の国王・大臣等は、仏は所詮なき人なりと申す。また外道の弟子どもも、我が師の上を云われて悪心をかき候。竹杖外道と申す外道の目連尊者を殺せしこと、これなり。苦得外道と申せし者を仏記して云わく「七日の内に死して食吐鬼と成るべし」と説かせ給いしかば、外道瞋りをなす。七日の内に食吐鬼と成りたりしかば、それを押し隠して、得道の人の御舎利買うべしと云いき。それより外に不思議なること数を知らず。
 ただし、道隆がことは見ぬことにて候えば、いかように候やらん。ただし、弘通するところの説法は、共に本権教より起こりて候いしを、今は「教外に別伝す」と申して、物にくるいて我と外道の