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妙一尼御前御返事
弘安3年(ʼ80)5月 59歳 妙一尼
夫れ、信心と申すは別にはこれなく候。妻のおとこをおしむがごとく、おとこの妻に命をすつるがごとく、親の子をすてざるがごとく、子の母にはなれざるがごとくに、法華経、釈迦・多宝、十方の諸の仏菩薩、諸天善神等に信を入れ奉って、南無妙法蓮華経と唱えたてまつるを、信心とは申し候なり。しかのみならず、「正直に方便を捨つ」「余経の一偈をも受けず」の経文を、女のかがみをすてざるがごとく、男の刀をさすがごとく、すこしもすつる心なく案じ給うべく候。あなかしこ、あなかしこ。
五月十八日 日蓮 花押
妙一尼御前御返事
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(245)妙一尼御前御返事 | 弘安3年(’80)5月 | 59歳 | 妙一尼 |