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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

八字を尊び給う故に、身をかえて千灯にともして、この八字を供養し給い、人をすすめて石壁・要路にかきつけて、見る人をして菩提心をおこさしむ。この光明、忉利天に至る。天の帝釈ならびに諸天の灯となり給いき。
 昔、釈迦菩薩、仏法を求め給いき。癩人あり。この人にむかって「我、正法を持てり。その字二十なり。我が癩病をさすり、いだき、ねぶり、日に両三斤の肉をあたえば説くべし」と云う。彼が申すごとくして、二十字を得て仏になり給う。いわゆる「如来証涅槃、永断於生死。若有至心聴、当得無量楽(如来は涅槃を証し、永く生死を断じたもう。もし至心に聴くことあらば、当に無量の楽を得べし)」等云々。
 昔、雪山童子と申す人ありき。雪山と申す山にして外道の法を通達せしかども、いまだ仏法をきかず。時に大鬼神ありき。説いて云わく「諸行無常。是生滅法(諸行は無常なり。これ生滅の法なり)」等云々。ただ八字ばかりを説いて後をとかず。時に雪山童子、この八字をえて悦びきわまりなけれども、半ばなる如意珠をえたるがごとく、花さきて菓ならざるににたり。残りの八字をきかんと申す。時に大鬼神云わく「我、数日が間飢饉して正念を乱る。ゆえに、後の八字をときがたし。食をあたえよ」と云々。時に童子問うて云わく「なにをか食とする」。鬼答えて云わく「我は人のあたたかなる血肉なり。我、飛行自在にして、須臾の間に四天下を廻りたずぬれども、あたたかなる血肉得がたし。人をば天守り給う故に、失なければ、殺害することかたし」等云々。童子云わく「我が身を布施として彼の八字を習い伝えん」と云々。鬼神云わく「智慧はなはだ賢し。我をやすかさんずらん」。童子答えて云わく「瓦礫に金銀をかえんにこれをかえざるべしや。我いたずらにこの山にして死しなば、鴟梟・虎