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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(224)

経王御前御書

 文永9年(ʼ72) 51歳 (四条金吾)

 種々御送り物、給び候い畢わんぬ。
 法華経の第八、妙荘厳王品と申すには、妙荘厳王と浄徳夫人と申す后は、浄蔵・浄眼と申す太子に導かれ給うと説かれて候。経王御前を儲けさせ給いて候えば、現世には跡をつぐべき孝子なり、後生にはまた導かれて仏にならせ給うべし。
 今の代は、濁世と申して乱れて候世なり。その上、眼前に世の中乱れて見え候えば、皆人、今生には弓箭の難に値って修羅道におち、後生には悪道疑いなし。しかるに、法華経を信ずる人々こそ仏には成るべしと見えて候え。
 御覧あるように、かかる事出来すべしと見えて候故に、昼夜に人に申し聞かせ候いしを、用いらるることこそなくとも、科に行わるることは謂れ無きことなれども、古も今も人の損ぜんとては善き言を用いぬ習いなれば、終には用いられず、世の中亡びんとするなり。これひとえに、法華経・釈迦仏の御使いを責むる故に、梵天・帝釈・日月・四天等の責めを蒙って候なり。また世は亡び候とも、日本国は南無妙法蓮華経とは人ごとに唱え候わんずるにて候ぞ。