1630ページ
(223)
四条金吾殿御返事(八日御書)
弘安5年(ʼ82)1月7日 61歳 四条金吾
満月のごとくなるもちい二十、かんろのごとくなるせいす一つつ、給び候い畢わんぬ。
春のはじめの御悦びは、月のみつるがごとく、しおのさすがごとく、草のかこむがごとく、雨のふるがごとしと思しめすべし。
そもそも八日は、各々の御父・釈迦仏の生まれさせ給い候いし日なり。彼の日に三十二のふしぎあり。一には一切の草木に花さきみなる。二には大地より一切の宝わきいず。三には一切のでんぱたに雨ふらずして水わきいず。四にはよるへんじてひるのごとし。五には三千世界に歎きのこえなし。かくのごとく、吉瑞の相のみにて候いし。これより已来今にいたるまで二千二百三十余年が間、吉事には八日をつかい給い候なり。
しかるに、日本国、皆釈迦仏を捨てさせ給いて候に、いかなる過去の善根にてや、法華経と釈迦仏とを御信心ありて、各々あつまらせ給いて八日をくよう申させ給うのみならず、山中の日蓮に華こうをおくらせ候やらん。とうとし、とうとし。恐々謹言。
正月七日 日蓮 花押
人々御返事
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
---|---|---|---|
(223)四条金吾殿御返事(八日御書) | 弘安5年(’82)1月7日 | 61歳 | 四条金吾 |