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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

中に在って大菩薩と示現す」云々。これ釈迦仏と申す第一の証文なり。
 これよりも、ことにまさしきこと候。この八幡大菩薩は、日本国人王第十四代仲哀天皇は父なり、第十五代神功皇后は母なり、第十六代応神天皇は今の八幡大菩薩これなり。
 父の仲哀天皇は、天照太神の仰せにて、新羅国を責めんがために渡り給いしが、新羅の大王に調伏せられ給いて、仲哀天皇ははかたにて崩御ありしかば、きさきの神功皇后は、この太子を御懐妊ありながらわたらせ給いしが、王の敵をうたんとて数万騎のせいをあい具して新羅国へ渡り給いしに、浪の上、船の内にて、王子御誕生の気いでき見え給う。その時、神功皇后は、はらの内の王子にかたり給う。「汝は王子か、女子か。王子ならばたしかに聞き給え。我は君の父・仲哀天皇の敵を打たんがために新羅国へ渡るなり。我が身は女の身なれば、汝を大将とたのむべし。君、日本国の主となり給うべきならば、今度生まれ給わずして、軍の間、腹の内にて数万騎の大将となりて父の敵を打たせ給え。これを用い給わずして只今生まれ給うほどならば、海へ入れ奉らんずるなり。我を恨みに思い給うな」とありければ、王子、本のごとく胎内におさまり給いけり。その時、石のおびをもって胎をひやし、新羅国へ渡り給いて新羅国を打ちしたがえて、還って豊前国うさの宮につき給い、ここにて王子誕生あり。
 懐胎の後三年六月三日と申す甲寅の年四月八日に生まれさせ給う。これを応神天皇と号し奉る。御年八十と申す壬申の年二月十五日にかくれさせ給う。男山の主、我が朝の守護神、正体めずらしからずして霊験新たにおわします今の八幡大菩薩これなり。