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華経を持って一切衆生をたすけ給う。「臨兵闘者皆陣列在前」の文も法華経より出でたり。「もし俗間の経書、治世の語言、資生の業等を説かんも、皆正法に順ぜん」とは、これなり。
これにつけても、いよいよ強盛に大信力をいだし給え。我が運命つきて、諸天守護なしとうらむることあるべからず。
将門はつわものの名をとり、兵法の大事をきわめたり。されども王命にはまけぬ。はんかい・ちょうりょうもよしなし。
ただ心こそ大切なれ。いかに日蓮いのり申すとも、不信ならば、ぬれたるほくちに火をうちかくるがごとくなるべし。はげみをなして強盛に信力をいだし給うべし。すぎし存命不思議とおもわせ給え。
なにの兵法よりも法華経の兵法をもちい給うべし。「諸余の怨敵は、みな摧滅す」の金言むなしかるべからず。兵法・剣形の大事もこの妙法より出でたり。ふかく信心をとり給え。あえて臆病にては叶うべからず候。恐々謹言。
十月二十三日 日蓮 花押
四条金吾殿御返事
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(220)四条金吾殿御返事(法華経兵法の事) | 弘安2年(’79)10月23日 | 58歳 | 四条金吾 |