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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

一族、一時に滅びぬ。
 これをもって御推察あるべし。また我がこの一門の中にも申しとおらせ給わざらん人々は、かえりて失あるべし。日蓮をうらみさせ給うな。少輔房・能登房等を御覧あるべし。
 かまえて、かまえて、この間はよのことなりとも御起請かかせ給うべからず。火はおびただしきようなれども、しばらくあればしめる。水はのろきようなれども、左右なく失いがたし。御辺は腹あしき人なれば、火の燃ゆるがごとし。一定人にすかされなん。また主のうらうらと言和らかにすかさせ給うならば、火に水をかけたるように御わたりありぬと覚ゆ。
 きたわぬかねは、さかんなる火に入るればとくとけ候。氷をゆに入るるがごとし。剣なんどは、大火に入るれども、しばらくはとけず。これきたえる故なり。まえにこう申すはきたうなるべし。
 仏法と申すは道理なり。道理と申すは主に勝つものなり。いかにいとおしはなれじと思うめなれども、死しぬればかいなし。いかに所領をおししとおぼすとも、死しては他人の物。すでにさかえて年久し。すこしも惜しむことなかれ。またさきざき申すがごとく、さきざきよりも百千万億倍御用心あるべし。
 日蓮は少きより今生のいのりなし。ただ仏にならんとおもうばかりなり。されども、殿の御事をば、ひまなく法華経・釈迦仏・日天に申すなり。その故は、法華経の命を継ぐ人なればと思うなり。あなかしこ、あなかしこ。あらかるべからず。吾が家にあらずんば、人に寄り合うことなかれ。また夜廻りの殿原は、ひとりもたのもしきことはなけれども、法華経の故に屋敷を取られたる人々なり。常は