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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(189)

四条金吾女房御書

 文永8年(ʼ71)5月 50歳 日眼女

 懐胎のよし承り候い畢わんぬ。それについては符のこと仰せ候。日蓮、相承の中より撰み出だして候。能く能く信心あるべく候。たとえば、秘薬なりとも、毒を入れぬれば薬の用すくなし。つるぎなれども、わるびれたる人のためには何かせん。なかんずく夫婦共に法華の持者なり。法華経流布あるべきたねをつぐところの玉の子出で生まれん。めでたく覚え候ぞ。色心二法をつぐ人なり。いかでかおそなわり候べき。とくとくこそうまれ候わんずれ。この薬をのませ給わば、疑いなかるべきなり。
 闇なれども灯入りぬれば明らかなり。濁水にも月入りぬればすめり。明らかなること、日月にすぎんや。浄きこと、蓮華にまさるべきや。法華経は日月と蓮華となり。故に妙法蓮華経と名づく。日蓮また日月と蓮華とのごとくなり。信心の水すまば、利生の月、必ず応を垂れ、守護し給うべし。とくとくうまれ候べし。法華経に云わく「かくのごとき妙法」。また云わく「安楽にして福子を産まん」云々。
 口伝相承のことは、この弁公にくわしく申しふくめて候。則ち如来の使いなるべし。返す返すも信心候べし。