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兵衛志殿御返事(兄弟同心の事)
弘安3年(ʼ80)11月12日 59歳 池上宗長
我が法華経も本迹和合して利益を無量にあらわす。各々二人、またかくのごとし。二人同心して大御所・守殿・法華堂・八幡等、つくりまいらせ給うならば、これは法華経の御利生とおもわせ給わざるべき。二人一同の儀は、車の二つのわのごとし、鳥の二つの羽のごとし。たとい妻子等の中のたがわせ給うとも、二人の御中、不和なるべからず。恐れ候えども、日蓮をたいとしとおもいあわせ給え。もし中不和にならせ給うならば、二人の冥加いかんがあるべかるらめと思しめせ。あなかしこ、あなかしこ。各々みわきかたきもたせ給いたる人々なり。内より論出で来らば、鷸蚌の相扼ぐも漁夫のおそれ有るべし。南無妙法蓮華経と御唱え、つつしむべし、つつしむべし。恐々謹言。
十一月十二日 日蓮 花押
ひょうえの志殿御返事
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(185)兵衛志殿御返事(兄弟同心の事) | 弘安3年(’80)11月12日 | 59歳 | 池上宗長 |