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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(184)

右衛門大夫殿御返事

 弘安2年(ʼ79)12月3日 58歳 池上宗仲

 そもそも、久しく申し承らず候のところに、御文到来候い畢わんぬ。殊にあおきうらの小袖一つ・ぼうし一つ・おび一すじ・鵝目一貫文・くり一籠、たしかにうけとりまいらせ候。
 当今は末法の始めの五百年に当たりて候。かかる時刻に上行菩薩御出現あって、南無妙法蓮華経の五字を日本国の一切衆生にさずけ給うべきよし、経文分明なり。また流罪・死罪に行わるべきよし、明らかなり。日蓮は上行菩薩の御使いにも似たり、この法門を弘むる故に。
 神力品に云わく「日月の光明の、能く諸の幽冥を除くがごとく、この人は世間に行じて、能く衆生の闇を滅す」等云々。この経文に「斯人行世間(この人は世間に行じて)」の五つの文字の中の「人」の文字をば誰とか思しめす。上行菩薩の再誕の人なるべしと覚えたり。経に云わく「我滅度して後において、応にこの経を受持すべし。この人は仏道において、決定して疑いあることなけん」云々。貴辺も上行菩薩の化儀をたすくる人なるべし。
  弘安二年己卯十二月三日    日蓮 花押
 右衛門大夫殿御返事