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法華経の行者をば、一切の諸天、不退に守護すべき経文分明なり。経の第五に云わく「諸天は昼夜に、常に法のための故に、しかもこれを衛護す」云々。また云わく「天の諸の童子は、もって給使をなさん。刀杖も加えず、毒も害すること能わじ」云々。「諸天」とは梵天・帝釈・日月・四大天王等なり。「法」とは法華経なり。「童子」とは七曜・二十八宿・摩利支天等なり。「臨兵闘者皆陣列在前」、これまた「刀杖不加」の四字なり。これらは随分の相伝なり。能く能く案じ給うべし。第六に云わく「一切世間の治生産業は、皆実相と相違背せず」云々。五節供の時もただ南無妙法蓮華経と唱えて悉地成就せしめ給え。委細はまたまた申すべく候。
次に「法華経は末法の始め五百年に弘まり給うべきと聴聞仕り、御弟子となる」と仰せ候こと。
師檀となることは三世の契り、種・熟・脱の三益別に人を求めんや。「いたるところの諸仏の土に、常に師とともに生ず」「もし法師に親近せば、速やかに菩提の道を得、この師に随順して学せば、恒沙の仏を見たてまつることを得ん」の金言違うべきや。提婆品に云う「生ずるところの処にて、常にこの経を聞かん」の人は、あに貴辺にあらずや。その故は、次上に「未来世の中に、もし善男子・善女人有って」と見えたり。善男子とは法華経を持つ俗のことなり。いよいよ信心をいたし給うべし、信心をいたし給うべし。恐々謹言。
正月十一日 日蓮 花押
秋元殿御返事 安房国ほたより出だす。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(169)秋元殿御返事 | 文永8年(’71)1月11日 | 50歳 | 秋元殿 |