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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

 今、日蓮は、弘法・慈覚・智証等の三大師ならびに三階・道綽・善導等を指して、「その人」と云うなり。
 「阿鼻獄に入らん」とは、涅槃経第十九に云わく「たとい一人独りこの獄に堕つるも、その身長大にして八万由延なり。その中に遍満して、間に空しき処無し。その身周匝して種々の苦を受く。たとい多人有って身また遍満すとも、相妨礙せず」。同三十六に云わく「沈没して阿鼻地獄に在って、受くるところの身形、縦広八万四千由旬ならん」等云々。普賢経に云わく「方等経を謗る。この大悪の報は、応に悪道に堕つべきこと暴雨にも過ぎ、必定して当に阿鼻地獄に堕つべし」等とは、「阿鼻獄に入らん」の文なり。
 日蓮云わく、夫れ、日本国は、道は七、国は六十八箇国、郡は六百四、郷は一万余、長さは三千五百八十七里なり。人数は四十五億八万九千六百五十九人、あるいは云わく四十九億九万四千八百二十八人なり。寺は一万一千三十七所、社は三千一百三十二社なり。今、法華経の「阿鼻獄に入らん」とは、これらの人々を指すなり。
 問うて云わく、衆生において悪人・善人の二類有り。生処もまた善悪の二道有るべし。何ぞ日本国の一切衆生一同に「阿鼻獄に入らん」の者と定むるや。
 答えて云わく、人数多しといえども、業を造ることこれ一なり。故に同じく阿鼻獄と定むるなり。
 疑って云わく、日本国の一切衆生の中に、あるいは善人、あるいは悪人あり。善人とは、五戒・十戒、乃至二百五十戒等なり。悪人とは、殺生・偸盗、乃至五逆・十悪等これなり。何ぞ一業と云うや。