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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(156)

大田殿女房御返事(金色王の事)

 弘安元年(ʼ78)9月24日 57歳 大田乗明の妻

 八木一石付けたり十合。
 ていれば、大旱魃の代にかわけるものに水をほどこしては、大竜王と生まれて雨をふらして人天をやしなう。うえたる代に食をほどこせる人は、国王と生まれて、その国ゆたかなり。
 過去の世に金色と申す大王ましましき。その国をば波羅奈国と申す。十二年が間旱魃ゆきて、人民うえ死ぬことおびただし。宅中には死人充満し、道路には骸骨充満せり。その時、大王、一切衆生をあわれみて、おおくの蔵をひらきて施をほどこし給いき。蔵の中の財つきて、ただ一日の供御のみのこりて候いし。衆僧をあつめて供養をなし、王と后と、衆僧と万民と、皆うえ死なんとせしほどに、天より飲食雨のごとくふりて、大国一時に富貴せりと金色王経にとかれて候。
 これもまたかくのごとし。この供養によりて、現世には福人となり、後生には霊山浄土へまいらせ給うべし。恐々謹言。
  九月二十四日    日蓮 花押
 大田入道殿女房御返事