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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

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乗明聖人御返事(金珠女の事)

 建治3年(ʼ77)4月12日 56歳 大田乗明

 相州鎌倉より、青鳧二結、甲州身延の嶺に送り遣わされ候い了わんぬ。
 昔、金珠女は金銭一文を木像の薄となし、九十一劫金色の身となりき。その夫の金師は、今の迦葉、未来の光明如来これなり。今、乗明法師妙日ならびに妻女は、銅銭二千枚を法華経に供養す。彼は仏なり、これは経なり。経は師なり、仏は弟子なり。涅槃経に云わく「諸仏の師とするところは、いわゆる法なり乃至この故に、諸仏は恭敬・供養す」。法華経の第七に云わく「もしまた人有って、七宝をもって三千大千世界に満てて、仏および大菩薩・辟支仏・阿羅漢に供養せんも、この人の得るところの功徳は、この法華経の乃至一四句偈を受持する、その福の最も多きにはしかじ」。
 夫れ、劣る仏を供養するすら、なお九十一劫金色の身となりぬ。勝れたる経を供養する施主、一生に仏位に入らざらんや。ただし、真言・禅宗・念仏者等の謗法の供養を除去す。譬えば、修羅を崇重しながら帝釈を帰敬するがごときのみ。恐々謹言。
  卯月十二日    日蓮 花押
 乗明聖人御返事