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人身すでにうけぬ。邪師またまぬかれぬ。法華経のゆえに流罪に及びぬ。今、死罪に行われぬこそ本意ならず候え。「あわれ、さることの出来し候えかし」とこそはげみ候いて、方々に強言をかきて挙げおき候なり。
すでに年五十に及びぬ。余命いくばくならず。いたずらに曠野にすてん身を、同じくは一乗法華のかたになげて、雪山童子・薬王菩薩の跡をおい、仙予・有徳の名を後代に留めて、法華・涅槃経に説き入れられまいらせんと願うところなり。南無妙法蓮華経。
十一月二十八日 日蓮 花押
御返事
止観の五、正月一日よりよみ候いて、「現世安穏、後生善処」と祈請仕り候。便宜に給うべく候。本末は、失せて候いしかども、これにすりさせて候。多く本入るべきに申し候。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(149)金吾殿御返事 | 文永6年(’69)11月28日 | 48歳 | (大田乗明) |