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問うて云わく、何ぞ、汝を毀る人、頭破七分無きや。
答えて云わく、古昔の聖人は、仏を除いてより已外、これを毀る人、頭破、ただ一人二人なり。今、日蓮を毀呰することは、非、一人二人に限るべからず。日本一国一同に同じく破るるなり。いわゆる正嘉の大地震・文永の長星は、誰が故ぞ。日蓮は一閻浮提第一の聖人なり。上一人より下万民に至るまで、これを軽毀して刀杖を加え流罪に処するが故に、梵と釈と日月・四天とは、隣国に仰せ付けてこれを逼責するなり。大集経に云わく、仁王経に云わく、涅槃経に云わく、法華経に云わく。たとい万祈を作すとも、日蓮を用いずんば、必ず、この国、今の壱岐・対馬のごとくならん。
我が弟子、仰いでこれを見よ。これひとえに、日蓮が尊貴なるにあらず、法華経の御力の殊勝なるによるなり。身を挙ぐれば慢ずと想い、身を下せば経を蔑る。松高ければ藤長く、源深ければ流れ遠し。幸いなるかな、楽しいかな。穢土において喜楽を受くるは、ただ日蓮一人なるのみ。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(133)聖人知三世事 | 建治元年(’75) | 54歳 | 富木常忍 |