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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

 その上、真言宗は法華経を失う宗なり。これは大事なり。まず序分に禅宗と念仏宗の僻見を責めてみんと思う。その故は、月氏・漢土の仏法の邪正はしばらくこれを置く、日本国の法華経の正義を失って、一人もなく人の悪道に堕つることは、真言宗が影の身に随うがごとく、山々寺々ごとに法華宗に真言宗をあいそいて、如法の法華経に十八道をそえ、懺法に阿弥陀経を加え、天台宗の学者の灌頂をして真言宗を正とし法華経を傍とせしほどに、真言経と申すは爾前権経の内の華厳・般若にも劣れるを、慈覚・弘法これに迷惑して、あるいは「法華経に同じ」、あるいは「勝れたり」なんど申して、仏を開眼するにも仏眼・大日の印・真言をもって開眼供養するゆえに、日本国の木画の諸像、皆、無魂・無眼の者となりぬ。結句は天魔入り替わって、檀那をほろぼす仏像となりぬ。王法の尽きんとする、これなり。
 この悪真言、かまくらに来って、また日本国をほろぼさんとす。その上、禅宗・浄土宗なんどと申すは、またいうばかりなき僻見の者なり。
 これを申さば必ず日蓮が命と成るべしと存知せしかども、虚空蔵菩薩の御恩をほうぜんがために、建長五年四月二十八日、安房国東条郷の清澄寺、道善の房、持仏堂の南面にして、浄円房と申す者ならびに少々の大衆にこれを申しはじめて、その後二十余年が間、退転なく申す。あるいは所を追い出だされ、あるいは流罪等。昔は聞く、不軽菩薩の杖木等を。今は見る、日蓮が刀剣に当たることを。
 日本国の有智・無智、上下万人の云わく「日蓮法師は、古の論師・人師・大師・先徳にすぐるべからず」と。日蓮この不審をはらさんがために、正嘉・文永の大地震・大長星を見て勘えて云わく「我