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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(102)

清澄寺大衆中

 建治2年(ʼ76)1月11日 55歳 清澄寺知友

 新春の慶賀、自他幸甚、幸甚。
 去年来らず、いかん。定めて子細有らんか。そもそも、参詣を企て候わば、伊勢公御房に十住心論・秘蔵宝鑰・二教論等の真言の疏を借用候え。かくのごときは、真言師蜂起の故にこれを申す。また、止観の第一・第二、御随身候え。東春・輔正記なんどや候らん。円智房の御弟子に観智房の持って候なる宗要集、かしたび候え。それのみならず、ふみの候由も人々申し候いしなり。早々に返すべきのよし申させ給え。
 今年は殊に仏法の邪正たださるべき年か。浄顕御房、義城房等には申し給うべし。
 日蓮が度々殺害せられんとし、ならびに二度まで流罪せられ、頸を刎ねられんとせしことは、別に世間の失に候わず。
 生身の虚空蔵菩薩より大智慧を給わりしことありき。「日本第一の智者となし給え」と申せしことを不便とや思しめしけん、明星のごとくなる大宝珠を給わって右の袖にうけとり候いし故に、一切経を見候いしかば、八宗ならびに一切経の勝劣、ほぼこれを知りぬ。