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果縛の肉身を妙法蓮華経と礼拝するなり。仏性も仏身も衆生の当体の色心なれば、直ちに礼拝を行ずるなり。よって「皆当作仏(皆当に作仏すべし)」の四字は、南無妙法蓮華経の種子に依るなり。
一、神力品
御義口伝に云わく、十種の神力を現じて上行菩薩に妙法蓮華経の五字を付嘱したもう。この「神力」とは、十界三千の衆生の神力なり。凡夫は、体の神力、三世の諸仏は、用の神力なり。「神」とは心法、「力」とは色法なり。「力」は法、「神」は妙なり。妙法の神力なれば、十界ことごとく神力なり。蓮華の神力なれば、十界清浄の神力なり。総じて三世の諸仏の神力とは、この品に尽くせり。
釈尊出世の神力の本意もこの品の神力なり。いわゆる、妙法蓮華経の神力なり。「十界皆成(十界皆成ず)」と談ずるより外の諸仏の神力はこれ有るべからず。一切の法門、神力にあらずということなし云々。
一、嘱累品
御義口伝に云わく、この品には摩頂付嘱を説いてこの妙法を滅後に留めたもうなり。これまた妙法の付嘱なれば、十界三千は皆付嘱の菩薩なり。
また三たび摩ずることは、能化・所化の具うるところの三観・三身の御手をもって、所化の頂上に明珠を譲り与えたる心なり。およそ頂上の明珠は、覚悟の知見なり。頂上の明珠とは、南無妙法蓮華経これなり云々。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(095)御義口伝 |