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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(064)

北条時宗への御状

 文永5年(ʼ68)10月11日 47歳 北条時宗

 謹んで言上せしめ候。そもそも正月十八日、西戎・大蒙古国の牒状到来すと。日蓮、先年諸経の要文を集めこれを勘えたること、立正安国論のごとく少しも違わず符合しぬ。日蓮は聖人の一分に当たれり。未萌を知るが故なり。しかるあいだ、重ねてこの由を驚かし奉る。
 急ぎ、建長寺・寿福寺・極楽寺・多宝寺・浄光明寺・大仏殿等の御帰依を止めたまえ。しからずんば、重ねてまた四方より責め来るべきなり。速やかに蒙古国の人を調伏して、我が国を安泰ならしめ給え。彼を調伏せられんこと、日蓮にあらずんば、これに協うべからず。諫臣国に在れば則ちその国正しく、争子家に在れば則ちその家直し。国家の安危は政道の直否に在り、仏法の邪正は経文の明鏡に依る。
 夫れ、この国は神国なり。神は非礼を稟けたまわず。天神七代・地神五代の神々、その外、諸天善神等は一乗擁護の神明なり。しかも、法華経をもって食となし、正直をもって力となす。法華経に云わく「諸仏救世者は、大神通に住して、衆生を悦ばしめんがための故に、無量の神力を現じたもう」。一乗棄捨の国においては、あに善神怒りを成さざらんや。
 仁王経に云わく「一切の聖人去らん時は、七難必ず起こらん」と。彼の呉王は伍子胥が詞を捨てて吾が身を亡ぼし、桀・紂は竜・比を失って国位を喪ぼす。今、日本国既に蒙古国に奪われんとす。あ