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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

 ここをもって明らかに知るべし。天崩れば我が身も崩るべし。地裂けば我が身も裂くべし。地水火風滅亡せば我が身もまた滅亡すべし。しかるに、この五大種は、過去・現在・未来の三世は替わるといえども、五大種は替わることなし。正法と像法と末法との三時殊なりといえども、五大種はこれ一つにして盛衰・転変無し。
 薬草喩品の疏には「円教の理は大地なり。円頓の教は空の雨なり。また三蔵教・通教・別教の三教は、三草と二木となり。その故は、この草木は、円理の大地より生じて円教の空の雨に養われて五乗の草木は栄うれども、天地に依って我栄えたりと思い知らざるに由るが故に、三教の人天・二乗・菩薩をば草木に譬えて説きたり。不知恩なるが故に、草木の名を得。今、法華に始めて、五乗の草木は、円理の母と円教の父とを知るなり。『一地の生むところ』なれば母の恩を知るがごとく、『一雨の潤すところ』なれば父の恩を知るがごとし」。薬草喩品の意、かくのごとくなり。
 釈迦如来、五百塵点劫の当初、凡夫にて御坐しませし時、我が身は地水火風空なりと知ろしめして即座に悟りを開きたまいき。後に化他のために世々番々に出世・成道し、在々処々に八相作仏し、王宮に誕生し、樹下に成道して、始めて仏に成る様を衆生に見知らしめ、四十余年に方便の教えを儲け衆生を誘引す。その後、方便の諸の経教を捨てて、正直の妙法蓮華経の五智の如来の種子の理を説き顕して、その中に四十二年の方便の諸経を丸かし納れて一仏乗と丸じ、人一の法と名づく。一人が上の法なり。多人の綺えざる正しき文書を造って慥かなる御判の印あり。
 三世の諸仏の手継ぎの文書を釈迦仏より相伝せられし時に、三千三百万億那由他の国土の上の虚空