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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

も、感ずべく驚くべし。ひとえに只事にあらず。天魔の国に入って、酔えるがごとく、狂えるがごとし。歎くべし、哀れむべし、恐るべし、厭うべし。
 また立正安国論に云わく「もし執心翻らず、また曲意なお存せば、早く有為の郷を辞して必ず無間の獄に堕ちなん」等云々。今符合するをもって未来を案ずるに、日本国の上下万人、阿鼻大城に堕ちんこと、大地を的となすがごとし。
 これらはしばらくこれを置く。日蓮が弟子等、またこの大難脱れ難きか。彼の不軽軽毀の衆は、現身に信伏随従の四字を加うれども、なお先謗の強きによって、まず阿鼻大城に堕ちて千劫を経歴して大苦悩を受く。今、日蓮が弟子等もまたかくのごとし。あるいは信じ、あるいは伏し、あるいは随い、あるいは従えども、ただ名のみこれを仮りて心中に染まざる信心薄き者は、たとい千劫をば経ずとも、あるいは一無間、あるいは二無間、乃至十百無間疑いなからんものか。
 これを免れんと欲せば、各薬王・楽法のごとく、臂を焼き、皮を剝ぎ、雪山・国王等のごとく、身を投げ、心を仕えよ。もししからずんば、五体を地に投げ、遍身に汗を流せ。もししからずんば、珍宝をもって仏前に積め。もししからずんば、奴婢となって持者に奉えよ。もししからずんば等云々。四悉檀をもって時に適うのみ。我が弟子等の中にも信心薄淡き者は、臨終の時、阿鼻獄の相を現ずべし。その時、我を恨むべからず等云々。
  文永十一年太歳甲戌十二月十五日    日蓮これを記す。