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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(038)

当体義抄

 文永10年(ʼ73) 52歳 最蓮房

 問う。妙法蓮華経とは、その体何物ぞや。
 答う。十界の依正、即ち妙法蓮華の当体なり。
 問う。もししからば、我らがごとき一切衆生も妙法の全体なりと云わるべきか。
 答う。勿論なり。経に云わく「いわゆる諸法の乃至本末究竟等」云々。妙楽大師云わく「実相は必ず諸法、諸法は必ず十如、十如は必ず十界、十界は必ず身土なり」云々。天台云わく「十如・十界・三千の諸法は、今経の正しき体なるのみ」云々。南岳大師云わく「いかなるを名づけて妙法蓮華経となすや。答う。妙とは、衆生妙なるが故に。法とは、即ちこれ衆生法なるが故に」云々。また天台釈して云わく「衆生法妙」云々。
 問う。一切衆生の当体即ち妙法の全体ならば、地獄乃至九界の業因業果も、皆これ妙法の体なるや。
 答う。法性の妙理に染・浄の二法有り。染法は薫じて迷いと成り、浄法は薫じて悟りと成る。悟りは即ち仏界なり。迷いは即ち衆生なり。この迷・悟の二法、二なりといえども、しかも法性真如の一理なり。