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地獄の中に堕つ。善男子よ。もし能く一闡提を殺すことあらば、則ちこの三種の殺の中に堕ちず。善男子よ。彼の諸の婆羅門等は、一切皆これ一闡提なり」已上。
仁王経に云わく「仏、波斯匿王に告げたまわく『この故に、諸の国王に付嘱して、比丘・比丘尼に付嘱せず。何をもっての故に。王の威力無ければなり』と」已上。
涅槃経に云わく「今、無上の正法をもって、諸王・大臣・宰相および四部の衆に付嘱す。正法を毀る者をば、大臣・四部の衆、応当に苦治すべし」。
また云わく「仏言わく『迦葉よ。能く正法を護持する因縁をもっての故に、この金剛身を成就することを得たり。善男子よ。正法を護持せん者は、五戒を受けず、威儀を修せず、応に刀剣・弓箭・鉾槊を持すべし』と」。
また云わく「もし五戒を受持するの者有らば、名づけて大乗の人となすことを得ざるなり。五戒を受けざれども、ために正法を護るを乃ち大乗と名づく。正法を護る者は、応当に刀剣器仗を執持すべし。刀杖を持すといえども、我はこれらを説いて名づけて持戒と曰わん」。
また云わく「善男子よ。過去の世にこの拘尸那城において仏の世に出でたもうことありき。歓喜増益如来と号したてまつる。仏涅槃して後、正法世に住すること無量億歳なり。余の四十年、仏法いまだ滅せず。その時、一りの持戒の比丘有り、名づけて覚徳と曰う。その時、多く破戒の比丘有り。この説を作すを聞いて皆悪心を生じ、刀杖を執持し、この法師を逼む。この時の国王は、名づけて有徳と曰う。このことを聞き已わって、護法のための故に即便ち説法者の所に往至して、この破戒の諸
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(002)立正安国論 | 文応元年(’60)7月16日 | 39歳 | 北条時頼 |