『日蓮大聖人御書全集　新版』全文検索

婆羅門・居士および余の比丘衆に向かって、誹謗して我が悪を説いて『これ邪見の人、外道の論議を説く』と謂わん。濁劫悪世の中には、多く諸の恐怖有らん。悪鬼はその身に入って、我を罵詈・毀辱せん。濁世の悪比丘は、仏の方便、宜しきに随って説きたもうところの法を知らず、悪口して顰蹙し、しばしば擯出せられん」已上。
　涅槃経に云わく「我涅槃して後、無量百歳、四道の聖人ことごとくまた涅槃せん。正法滅して後、像法の中において、当に比丘有るべし。律を持つに似像せて少しく経を読誦し、飲食を貪嗜してその身を長養し、袈裟を着るといえども、なお猟師の細めに視て徐かに行くがごとく、猫の鼠を伺うがごとし。常にこの言を唱えん、『我、羅漢を得たり』と。外には賢善を現じ、内には貪嫉を懐く。啞法を受けたる婆羅門等のごとし。実には沙門にあらずして沙門の像を現じ、邪見熾盛にして正法を誹謗せん」已上。
　文に就いて世を見るに、誠にもってしかなり。悪侶を誡めずんば、あに善事を成さんや。
　客なお憤って曰わく、明王は天地に因って化を成し、聖人は理非を察らかにして世を治む。世上の僧侶は天下の帰するところなり。悪侶においては明王は信ずべからず。聖人にあらずんば賢哲は仰ぐべからず。今、賢聖の尊重せるをもって、則ち竜象の軽からざるを知んぬ。何ぞ妄言を吐いてあながちに誹謗を成し、誰人をもって悪比丘と謂うや。委細に聞かんと欲す。
　主人曰わく、後鳥羽院の御宇に法然というもの有って選択集を作る。則ち一代の聖教を破し、あまねく十方の衆生を迷わす。その選択に云わく「道綽禅師、聖道・浄土の二門を立てて、聖道を捨て正