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上野殿御返事(法華経の御命の事)
建治3年(ʼ77)7月16日 56歳 南条時光
むぎひとひつ・かわのり五帖・はじかみ六ぱ、給び候い了わんぬ。
いつもの御事に候えばおどろかれずめずらしからぬようにうちおぼえて候は、ぼんぷの心なり。せけんそうそうなる上、おおみやのつくられさせ給えば、百姓と申し、我が内の者と申し、けかちと申し、ものつくりと申し、いくそばくこそいとまなく御わたりにて候らんに、山のなかのすまい、さこそとおもいやらせ給いて、とりのかいごをやしなうがごとく、ともしびにあぶらをそうるがごとく、かれたるくさにあめのふるがごとく、うえたる子にちをあたうるがごとく、法華経の御いのちをつがせ給うこと、三世の諸仏を供養し給えるにてあるなり。十方の衆生の眼を開く功徳にて候べし。尊しとも申すばかりなし。あなかしこ、あなかしこ。恐々謹言。
七月十六日 日蓮 花押
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(312)上野殿御返事(法華経の御命の事) | 建治3年(’77)7月16日 | 56歳 | 南条時光 |