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するところとなること、六通の羅漢のごとくならん」等云々。また云わく「常に大衆の中に在って我らを毀らんと欲するが故に、国王・大臣・婆羅門・居士および余の比丘衆に向かって、誹謗して我が悪を説かん」等云々。また云わく「悪鬼はその身に入って、我を罵詈・毀辱せん」等云々。また云わく「しばしば擯出せられん」等云々。
大涅槃経に云わく「一闡提有って、羅漢の像を作して空処に住し、方等大乗経典を誹謗す。諸の凡夫人見已わって、皆『真の阿羅漢にして、これ大菩薩なり』と謂わん」等云々。また云わく「正法滅して後、像法の中において、当に比丘有るべし。律を持つに似像せて少しく経を読誦し、飲食を貪嗜してその身を長養す乃至袈裟を服るといえども、なお猟師の細めに視て徐かに行くがごとく、猫の鼠を伺うがごとし」等云々。
また般泥洹経に云わく「阿羅漢に似たる一闡提有り乃至」等云々。
予、この明鏡を捧げ持って、日本国に引き向けてこれを浮かべたるに、一分も陰れ無し。「あるいは阿練若に納衣にして空閑に在るもの有らん」とは、何人ぞや。「世の恭敬するところとなること、六通の羅漢のごとくならん」とは、また何人ぞや。「諸の凡夫見已わって、皆『真の阿羅漢にして、これ大菩薩なり』と謂わん」とは、これまた誰ぞや。「律を持って少しく経を読誦す」とは、またいかん。
かくのごとき経文は、仏、仏眼をもって末法の始めを照見したもう。当世に当たってこれらの人々無くんば、世尊の謬乱なり、この本迹二門と双林の常住と、誰人かこれを信用せん。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(284)波木井三郎殿御返事 | 文永10年(’73)8月3日 | 52歳 | 南部六郎三郎 |