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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

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阿仏房御書(宝塔御書)

 建治2年(ʼ76)3月13日* 阿仏房

 御文委しく披見いたし候い畢わんぬ。そもそも宝塔の御供養の物、銭一貫文・白米・しなじなおくり物、たしかにうけとり候い畢わんぬ。この趣、御本尊・法華経にもねんごろに申し上げ候。御心やすくおぼしめし候え。
 一、御文に云わく「多宝如来涌現の宝塔、何事を表し給うや」と云々。
 この法門ゆゆしき大事なり。宝塔をことわるに、天台大師、文句の八に釈し給いし時、証前・起後の二重の宝塔あり。証前は迹門、起後は本門なり。あるいはまた、閉塔は迹門、開塔は本門、これ即ち境智の二法なり。しげきゆえにこれをおく。詮ずるところ、三周の声聞、法華経に来って己心の宝塔を見るということなり。
 今、日蓮が弟子檀那、またまたかくのごとし。
 末法に入って法華経を持つ男女のすがたより外には宝塔なきなり。もししからば、貴賤上下をえらばず、南無妙法蓮華経ととなうるものは、我が身宝塔にして我が身また多宝如来なり。妙法蓮華経より外に宝塔なきなり。法華経の題目、宝塔なり。宝塔また南無妙法蓮華経なり。