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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

また物に譬うれば、父母を殺す罪、謀叛をおこせる科、出仏身血等の重罪等にも過ぎたり。三千大千世界の一切衆生の人の眼をぬける罪よりも深く、十方世界の堂塔を焼きはらえるよりも超えたる大罪を一人して作れる程の衆生、日本国に充満せり。
 されば、天は日々に眼をいからして日本国をにらみ、地神は忿りを作して時々に身をふるうなり。しかるに、我が朝の一切衆生は、皆「我が身に科なし」と思い、「必ず往生すべし、成仏をとげん」と思えり。赫々たる日輪をも、目無き者は見ず知らず。譬えば、たいこのごとくなる地震をも、ねぶれる者の心にはおぼえず。日本国の一切衆生もかくのごとし。
 女人よりも男子の科はおおく、男子よりも尼のとがは重し。尼よりも僧の科はおおく、破戒の僧よりも持戒の法師のとがは重し。持戒の僧よりも智者の科はおもかるべし。これらは、癩病の中の白癩病、白癩病の中の大白癩病なり。
 末代の一切衆生は、いかなる大医、いかなる良薬をもってか治すべきとかんがえ候えば、大日如来の智拳印ならびに大日の真言、阿弥陀如来の四十八願、薬師如来の十二大願の衆病悉除の誓いも及ぶべからず。この薬つかわば、病消滅せざる上、いよいよ倍増すべし。これらの末法の時のために、教主釈尊、多宝如来・十方分身の諸仏を集めさせ給いて、一つの仙薬をとどめ給えり。いわゆる妙法蓮華経の五つの文字なり。
 この文字をば、法慧・功徳林・金剛薩埵・普賢・文殊・薬王・観音等にもあつらえさせ給わず。いかにいわんや迦葉・舎利弗等をや。上行菩薩等と申して四人の大菩薩まします。この菩薩は、釈迦如来、