SOKAnetトップ

『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(256)

檀越某御返事

 弘安元年(ʼ78)4月11日 57歳

 御文うけたまわり候い了わんぬ。
 日蓮流罪して先々にわざわいども重なって候に、またなにと申すことか候べきとはおもえども、人のそんぜんとし候には不可思議のことの候えば、さか候わんずらん。もしその義候わば、用いて候わんには百千万億倍のさいわいなり。今度ぞ三度になり候。法華経も、よも日蓮をばゆるき行者とはおおせじ。
 釈迦・多宝・十方の諸仏・地涌千界の御利生、今度みはて候わん。あわれ、あわれ、さることの候えかし。雪山童子の跡をおい、不軽菩薩の身になり候わん。いたずらにやくびょうにやおかされ候わんずらん、おいじににや死に候わんずらん。あらあさまし、あらあさまし。
 願わくは、法華経のゆえに国主にあだまれて、今度生死をはなれ候わばや。天照太神・正八幡・日月・帝釈・梵天等の仏前の御ちかい、今度心み候わばや。
 事々さておき候いぬ。各々の御身のことは、これより申しはからうべし。さておわするこそ、法華経を十二時に行ぜさせ給うにては候らめ。あなかしこ、あなかしこ。