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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

 また、この曼荼羅能く能く信ぜさせ給うべし。南無妙法蓮華経は師子吼のごとし、いかなる病さわりをなすべきや。鬼子母神・十羅刹女、法華経の題目を持つものを守護すべしと見えたり。さいわいは愛染のごとく、福は毘沙門のごとくなるべし。いかなる処にて遊びたわぶるとも、つつがあるべからず。遊行して畏れ無きこと、師子王のごとくなるべし。十羅刹女の中にも、皐諦女の守護ふかかるべきなり。ただし御信心によるべし。つるぎなんども、すすまざる人のためには用いることなし。法華経の剣は、信心のけなげなる人こそ用いることなれ。鬼にかなぼうたるべし。日蓮がたましいをすみにそめながしてかきて候ぞ、信じさせ給え。仏の御意は法華経なり、日蓮がたましいは南無妙法蓮華経にすぎたるはなし。妙楽云わく「顕本遠寿をもってその命となす」と釈し給う。
 経王御前には、わざわいも転じて幸いとなるべし。あいかまえて御信心を出だし、この御本尊に祈念せしめ給え。何事か成就せざるべき。「その願を充満すること、清涼の池のごとし」「現世安穏にして、後に善処に生ぜん」、疑いなからん。
 また申し候。当国の大難ゆり候わば、いそぎいそぎ鎌倉へ上り、見参いたすべし。法華経の功力を思いやり候えば、不老不死目前にあり。ただ歎くところは露命ばかりなり。天たすけ給えと強盛に申し候。浄徳夫人・竜女の跡をつがせ給え。南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。あなかしこ、あなかしこ。
  八月十五日    日蓮 花押
 経王御前御返事