『日蓮大聖人御書全集　新版』全文検索

ずといえども、念を正法に繫くるをもって、能く彼の処を解脱せん。もしまた余人有って甚深の法を誹謗せば、彼の人は無量劫にも解脱を得べからず。もし人、衆生をしてかくのごとき法を覚信せしめば、彼はこれ我が父母、またこれ善知識なり。彼の人はこれ智者なり。如来の滅後に邪見・顚倒を廻して、正道に入らしむるをもっての故に、三宝清浄の信、菩提功徳の業あり」等云々。
　竜樹菩薩、菩提資糧論に云わく「五無間の業を説きたもう乃至もし未解の深法において執著を起こさば○彼の前の五無間等の罪の聚まりをこれに比するに、百分にも及ばず」云々。
　夫れ、賢人は安きに居て危うきを欲い、佞人は危うきに居て安きを欲う。大火は小水を畏怖し、大樹は小鳥に値って枝を折らる。智人は恐怖すべし、大乗を謗ずるが故に。天親菩薩は舌を切らんと云い、馬鳴菩薩は頭を刎ねんと願い、吉蔵大師は身を肉橋となし、玄奘三蔵はこれを霊地に占い、不空三蔵は疑いを天竺に決し、伝教大師はこれを異域に求む。皆、上に挙ぐるところは経論を守護する故か。
　今、日本国の八宗ならびに浄土・禅宗等の四衆、上は主上・上皇より、下は臣下・万民に至るまで、皆一人も無く弘法・慈覚・智証の三大師の末孫・檀越なり。円仁慈覚大師云わく「故に彼と異なり」。円珍智証大師云わく「華厳・法華を大日経に望めば戯論となす」。空海弘法大師云わく「後に望めば戯論と作る」等云々。この三大師の意は、「法華経は已今当の諸経の中の第一なり。しかりといえども、大日経に相対すれば、戯論の法なり」等云々。この義、心有らん人、信を取るべきや不や。
　今、日本国の諸人、悪象・悪馬・悪牛・悪狗・毒蛇・悪刺・懸岸・険岸・暴水・悪人・悪国・悪城・悪