『日蓮大聖人御書全集　新版』全文検索

沙の諸の如来も、普門塵数の諸の三昧も、因果を遠離して法然として具す。無辺の徳海は本より円満なり。還って我は心の諸仏を頂礼す」。
　仏蔵経に云わく「仏は一切衆生の心中に皆如来有して結跏趺坐すと見そなわす」文。
　問うて云わく、真言宗は一念三千を用いるや。
　答えて云わく、大日経の義釈〈善無畏・金剛智・不空・一行〉に云わく〈この文に五本有り。十巻の本は伝教・弘法これを見ず。智証これを渡す〉「この経はこれ法王の秘宝なり。みだりに卑賤の人に示さず。釈迦世に出でて四十余年に、舎利弗の慇懃の三請に因って、方にために略して妙法蓮華の義を説くがごとし。今この本地の身、またこれ妙法蓮華の最深秘処なるが故に。寿量品に云わく『常に霊鷲山および余の諸の住処に在り、乃至、我が浄土は毀れざれども、衆は焼け尽くと見る』。即ちこの宗の瑜伽の意なるのみ。また、補処の菩薩の慇懃の三請に因って、方にためにこれを説く」。また云わく「またこの経の宗は横に一切の仏教を統ぶ。『唯薀無我にして、世間の心を出で、薀の中に住す』と説くがごときは、即ち諸部の小乗三蔵を摂む。『薀の阿頼耶を観じて、自心の本不生を覚る』と説くがごときは、即ち諸経の八識・三性・無性の義を摂む。『極無自性心・十縁生句』を説くがごときは、即ち華厳・般若の種々の不思議の境界を摂めて、皆その中に入る。『如実に自心を知るを一切種智と名づく』と説くがごときは、則ち仏性〈涅槃経なり〉・一乗〈法華経なり〉・如来秘蔵〈大日経なり〉、皆その中に入る。種々の聖言においてその精要を統べざることなし」。毘盧遮那経の疏〈伝教・弘法これを見る〉第七の下に云わく「天台の誦経はこれ円頓の数息なりと謂う。これ、この意なり」。